私たちが「腸」と呼ぶのは、小腸と大腸の2つの部分です。小腸で食べたものの栄養が吸収され、残りが大腸へ送られて水分や塩分が吸収されます。この2つの腸には約100兆個ともいわれる腸内細菌がおり、消化・吸収以外にも、健康を保つことに役立つ実にさまざまな働きをしています。腸内環境を整えるその働きをより活性化させるのが「腸活」です。

【腸の中をのぞいてみると…】

• ●小腸の長さは5〜7m。広げるとおよそテニスコート2面分もあり、効率よく消化吸収が行われている

• ●腸内細菌が腸内の環境を守り、腸の働きを整えている

• ●約100兆個の腸内細菌が生息しており、その重さはなんと合計1.5Kg！

• ●腸内細菌は花畑のように腸の中に広がっているので「腸内フローラ」と呼ばれる

• ●幸せホルモン「セロトニン」の9割が腸でつくられている

• ●加齢とともに悪玉菌が増えやすくなる

• ●腸には約1億個の神経細胞があり、脳の働きを活発にする副交感神経とつながっている

• ●免疫細胞の約70%が腸に集合し、細菌やウイルスと常に戦っている

腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌というグループに分かれ、そのバランスが最も良いのは善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%の割合といわれています。

【善玉菌】

• ●有害物質を無毒化する

• ●腸内のぜん動運動を促す

• ●悪玉菌の増加を抑える

【悪玉菌】

• ●有害物質をつくり出す

• ●お腹の不調を引き起こす

【日和見菌】

• ●善玉菌か悪玉菌か優勢な方へなびく

• ●血流が滞って…　冷え性・肌荒れ

• ●自律神経が乱れて…　肩こり・腰痛の原因に

• ●太りやすい種類の腸内細菌が増えて…　肥満気味に

• ●消化吸収の所要時間によって…　便秘・下痢ぎみ

• ●細胞に影響して…　体力低下

【便を見れば腸内環境が分かりやすい】

腸内細菌のバランスに大きく影響するのが、食生活、適度な運動、腸をケアする生活習慣です。日頃からこれらを意識して、毎日の生活に「腸活」を取り入れましょう。

【食生活：善玉菌を増やす食品を摂ろう】

私たちが食べたものは、腸内細菌のエサになり、その種類によって善玉菌を増やすものと悪玉菌を増やすものに分かれます。つまり、腸内がどんな環境になるかは食べるもの次第なのです。なかでも、次の4つは善玉菌を活性化させる働きを持っており、積極的に摂りたい食品です。

• ●発酵食品

• ●水溶性食物繊維

• ●DHA・EPA

• ●オリゴ糖

【運動：軽いストレッチや ウォーキングで腸を刺激】

関節や筋肉をほぐすストレッチや疲れない程度のウォーキングなどの軽めの運動がおすすめです。全身のコリをほぐして血流を良くすることで副交感神経が活性化し、腸の働きも活発になります。

• ●首を回すストレッチで血行を促進
• 背筋を伸ばして頭の後ろで指を組み、肩を動かさずに左右にゆっくりと首を回す

• ●腰まわりのストレッチで腸を刺激
• 足を伸ばして座り、左ひざを右足にクロスさせ、上半身を左側にねじる。左右交互に行う

【生活習慣：睡眠や入浴で 疲れがちな腸をケア】

腸の働きは、50歳代くらいから鈍くなり、善玉菌の割合が減りがちになっていきます。腸をケアする生活習慣を身に付けましょう。

• ●ぐっすり眠る
• 成長ホルモンが睡眠中に腸の傷んだ部分を修復

• ●ぬるめのお湯 （目安は40℃）に 浸かる
• 腸がしっかり温まり、元気がアップ

【最も多いタイプは「機能性便秘」】

便秘にはいくつかのタイプがありますが、一般的に「便秘」と呼ばれているのは、食生活や生活習慣が原因となっているタイプの「機能性便秘（慢性便秘）」です。便秘に悩んでいる場合は、自分がどのタイプかをチェックしてみましょう。

【便秘のタイプはいろいろ】